2024/08/27
持ち家の維持費は年間いくらかかる?費用を安く抑える方法も解説
この記事では、持ち家の維持費は年間いくらかかるのか、戸建とマンション、持ち家と賃貸を比較して解説します。
結論として、持ち家を維持するためには年間で30〜40万円ほどの費用がかかるといわれています。住宅ローンを組む場合は、ローン返済をしながら維持費を支払う必要もあるため、維持費がどのくらいかかるのか、内訳を知っておきたいと考える人は少なくありません。
この記事では、持ち家でかかる維持費を安く抑える方法も解説します。持ち家と賃貸で迷っている人や、維持費が高いことに悩んでいる人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
- 持ち家の維持費の平均は年間30〜40万円
- 戸建てとマンションの維持費の違い
- 持ち家と賃貸どちらがお得なのか
- 持ち家の維持費を安く抑える方法
持ち家の維持費の平均は年間30〜40万円
持ち家を維持するためには年間で30〜40万円ほどの費用がかかることが一般的です。30年間持ち家に住んだとき、維持費は1,000〜1,300万円ほどかかるといわれています。
維持費の内訳は主に以下の3つです。
- 修繕費用
- 税金
- 保険料
それぞれの項目について具体的に見ていきましょう。
修繕費用
持ち家を長期間快適に保つためには、定期的な修繕が必要です。
修繕費用には主に以下が含まれます。
費用項目 | 頻度 | 1回あたりの費用 |
屋根の修理 | 10〜15年 | 50〜100万円 |
外壁の修繕 | 10〜20年 | 80〜120万円 |
床材の張り替え | 20年 | 10〜20万円 |
害虫対策 | 10〜15年 | 20万円 |
配管の取り替え | 20年 | 50〜100万円 |
30年間持ち家に住み続け、適切な頻度で修繕を行った場合、800万円程度の費用がかかると見込まれます。維持費の中でも大きな割合を占めるため、資金を準備する際は特に注意が必要です。
税金
持ち家を所有することで発生する税金には主に以下の2つがあります。
税金の種類 | 発生するケース | 計算方法 |
固定資産税 | 土地や建物を所有する場合は基本的に発生する | 固定資産税評価額×1.4% |
都市計画税 | 都市計画区域内に土地や建物を所有する場合に発生する | 固定資産税評価額×0.4% |
※参考1:地方税制度|固定資産税|総務省
※参考2:地方税制度|都市計画税|総務省
具体的な金額は物件によって異なりますが、固定資産税は年間10〜20万円、土地計画税は5〜10万円が目安です。30年間で合計200〜400万円ほどと見込んでおきましょう。
保険料
持ち家には、火災や地震などが発生した際に大きな被害が発生するため、リスクを軽減するために保険に加入することが一般的です。保険料には主に以下が含まれます。
種類 | 内容 | 年間の金額の目安 |
火災保険料 | 火災や自然災害による損害を補償するための保険 | 2〜3万円 |
地震保険料 | 地震による損害を補償するための保険 | 1〜2万円 |
保険料の金額は、建物の構造や補償内容、地域によって異なるので、住宅を購入するエリアごとに相場を調べましょう。保険料の30年間の合計金額は20〜60万円ほどです。
戸建てとマンションの維持費の違いをシミュレーション
ここでは、戸建てとマンションの維持費の違いをシミュレーションします。30年間の維持費の内訳は以下のとおりです。あくまで目安である点に注意してください。
項目 | 戸建て | マンション |
修繕費用 | 約700万円 | 約200万円 |
税金 | 約240万円 | 約360万円 |
保険料 | 約60万円 | 約15万円 |
管理費 | なし | 400〜500万円 |
修繕積立金 | なし | 400〜500万円 |
合計 | 約1,000万円 | 約1,500万円 |
戸建てのほうがマンションに比べて維持費が低くなる傾向があります。
- 戸建てにかかる維持費
- マンションの維持費
以下でそれぞれを詳しく見ていきましょう。
戸建てにかかる維持費
戸建ての場合、維持費は30年間で1,000万円程度、1年あたり30〜35万円程度が目安です。具体的な項目と金額の目安は以下のとおりです。
大項目 | 小項目 | 頻度 | 費用相場 |
修繕費用 | 屋根の修理 | 10〜15年 | 50〜100万円/回 |
外壁の修繕 | 10〜20年 | 80〜120万円/回 | |
床材の張り替え | 20年 | 10〜20万円/回 | |
税金 | 固定資産税 | 毎年 | 10〜15万円/年 |
都市計画税 | 毎年 | 5〜7万円/年 | |
保険料 | 火災保険料 | 1〜5年 | 1〜2万円/年 |
地震保険料 | 1〜5年 | 2〜3万円/年 |
修繕費用は他にも多くの項目があるため、詳細は家づくりの際にハウスメーカーと確認することをおすすめします。
マンションの維持費
マンションの場合、維持費は30年間で1,500万円程度、1年あたり35〜40万円程度が目安です。具体的な項目と金額の目安は以下のとおりです。
大項目 | 小項目 | 頻度 | 費用相場 |
修繕費用 | 水回りの修繕 | 10〜15年 | 50〜100万円/回 |
税金 | 固定資産税 | 毎年 | 15〜20万円/年 |
都市計画税 | 毎年 | 7〜10万円/年 | |
保険料 | 火災保険料 | 1〜5年 | 0.5〜1万円/年 |
地震保険料 | 1〜5年 | 1〜2万円/年 | |
管理費 | ‐ | 毎年 | 10〜20万円/年 |
修繕積立金 | ‐ | 毎年 | 10〜20万円/年 |
マンションは管理費や修繕積立金が必要ですが、共用部分の管理や大規模修繕は管理組合が行うため、個別に対応する手間が省けます。
持ち家と賃貸どちらがお得なのか
結論、持ち家と賃貸どちらがお得とは一概にいえません。それぞれの家族構成や住むエリア、ライフスタイルによって異なります。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
- 持ち家のメリット・デメリット
- 賃貸のメリット・デメリット
順番に見ていきましょう。
持ち家のメリット・デメリット
持ち家のメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
- 将来は資産になる
- リフォームが自由にできる
- 住環境が安定している
購入して持ち家にすると、将来的に資産となります。特に住宅ローンを完済すれば、自由にリフォームや改装ができる自分好みの家が自分のものとして残るのは大きな魅力です。
また、長期間同じ場所に住むことでコミュニティに根付きやすく、引越しに伴う心理的な負担がないこともメリットといえます。
持ち家の主なデメリットは、以下のとおりです。
- 初期費用が高い
- 維持費が必要になる
- 購入時より大幅に価値が下がるリスクがある
持ち家の場合、頭金や住宅ローンの手数料、引越し費用など初期費用が多くかかります。修繕費や税金、保険料など、定期的に維持費もかかるため、金銭面でデメリットを感じる人もいるでしょう。
また、将来的な売却を前提として住宅を購入する場合、不動産市場の変動により、購入価格よりも資産価値が下がるリスクも考慮する必要があります。
賃貸のメリット・デメリット
賃貸のメリットは主に以下の3つが挙げられます。
- 初期費用が低い
- 修繕費がかからない
- 柔軟に住み替えができる
賃貸の場合、初期費用は敷金や礼金、初月の家賃などであり、購入に比べて低く抑えられます。また、修繕やメンテナンスは大家や管理会社が行うため、維持費の負担がない点も大きなメリットです。
また、賃貸は特定のエリアに住み続けなければならない理由がなく、転勤やライフスタイルの変化に合わせて、簡単に引越しができます。
賃貸の主なデメリットは以下のとおりです。
- 資産にならない
- 家賃が上昇するリスクがある
- リフォームや改装が自由にできない
賃貸は家賃を支払っても将来的な資産にはならず、毎月の支払いが単なる消費となる点はデメリットといえます。さらに、契約更新時に家賃が上がるおそれがあり、契約期間も短いため、長期間の安定が保証されません。
また、賃貸物件ではリフォームや改装に制約があり、自分好みの住環境を作るのは困難です。
持ち家の維持費を安く抑える方法
ここでは、持ち家の維持費を安く抑える方法を5つ解説していきます。
- アフターサービスが充実した建築会社を選ぶ
- 高性能な物件を購入する
- 保険内容を見直す
- こまめに自分でメンテナンスする
- 税制の優遇を活用する
順番に見ていきましょう。
アフターサービスが充実した建築会社を選ぶ
持ち家の維持費を抑えるためには、アフターサービスが充実した建築会社を選ぶことが重要です。例えば、以下のサービスがある建築会社なら維持費を抑えやすいでしょう。
- 長期保証
- 定期点検サービス
- 緊急対応サポート
例えば、10年以上の保証期間がある建築会社では、修繕費用が抑えられることがあります。屋根や外壁の修理が必要になった際、保証期間内であれば無料で修理してもらえるでしょう。
また、年に一度の定期点検サービスを提供している建築会社もあります。小さな不具合を早期に発見できれば、重大な故障を未然に防ぐことが可能です。
緊急時の対応サポートがある建築会社を選ぶと、突発的なトラブルにも安心です。例えば、深夜に給湯器が故障した場合でもすぐに修理を依頼でき、急な出費を抑えられるでしょう。
高性能な物件を購入する
物件の性能も維持費に大きく影響します。主に以下の性能が優れた物件を選ぶことで、長期的に維持費を抑えられるでしょう。
- 断熱性
- 省エネ設備
- 創エネ設備
高い断熱性を持つ物件は冷暖房の効率が良く、光熱費を節約できます。例えば、断熱材がしっかりと施工されている家は、冬は暖かく夏は涼しい環境を維持しやすくなります。
また、省エネ設備が整った物件を選ぶと、電気代やガス代が安くなります。LED照明やエコキュートなどの設備は初期費用が少し高くても、長期的には大きな節約になるでしょう。
さらに、太陽光発電システムなどの創エネ設備を導入すれば、自宅でエネルギーを生み出し、光熱費を大幅に削減することが可能です。
保険内容を見直す
定期的に保険内容を見直すことで、保険料を節約できるでしょう。
例えば、火災保険と地震保険を別々に契約している場合、一括で契約すると保険料が安くなることがあります。同じリスクに対して、重複して保険をかけている場合も見直しの対象です。
また、保険の特約の中には自分に不要なものが付いていることがあります。自分にとって不要な特約を削除することで保険料を下げられるでしょう。
こまめに自分でメンテナンスする
自分でできる規模のメンテナンスをこまめに行うことで、維持費の節約につながります。
例えば、壁の小さなひび割れや塗装の剥がれなどは、自分で修繕できるケースがあります。ホームセンターで必要な道具を購入し修理することで、依頼するよりも費用を抑えられるでしょう。
また、給湯器やエアコンなどの設備を定期的に点検し、必要に応じて簡単なメンテナンスを行うことで、設備の寿命を延ばし修理費用を節約できます。
税制の優遇を活用する
税制の優遇を活用することで、維持費を抑えられるでしょう。優遇制度や補助金として、主に以下のものが挙げられます。
- 住宅ローン控除
- 固定資産税の軽減措置
- 省エネ設備の補助金
住宅ローンを利用している場合、条件を満たして住宅ローン控除を活用すると、最大13年間、年末のローン残高の0.7%が所得税や住民税から控除されます。
また、新築住宅や耐震改修を行った住宅に対して、固定資産税が3〜5年間軽減される措置もあります。
さらに、太陽光発電や省エネ給湯器などの設備を設置したり住宅の改修を行ったりして省エネ性能を向上させた場合、国や自治体から補助金を受け取れることがあります。
優遇制度や補助金を活用し、維持費を抑えることが大切です。
※参考1:住宅:住宅ローン減税|国土交通省
持ち家と維持費に関するよくある質問
最後に、持ち家と維持費に関するよくある質問を紹介します。
- マイホームの維持費が高くなる原因は?
- 持ち家の維持費が高くなるタイミングはいつ?
疑問の解消にお役立てください。
マイホームの維持費が高くなる原因は?
持ち家の維持費が高くなる原因として、主に以下が挙げられます。
- 老朽化
- 設備の不具合
年数が経つと建物や設備が老朽化し、修繕や交換が必要になります。例えば、屋根の修理や外壁の塗り替えなどは、定期的に行わなければなりません。
また、給湯器やエアコン、配管などの設備は、時間が経つと故障することがあります。修理や交換にかかる費用が維持費を押し上げる原因となります。
持ち家の維持費が高くなるタイミングはいつ?
持ち家の維持費が高くなるタイミングは、主に以下のパターンがあります。
- 築10〜15年目
- 築20〜30年目
- 自然災害後
築10〜15年目は、屋根や外壁の塗装、給湯器の交換などが必要になる時期です。
築20〜30年目は大規模なリフォームが必要になることが多い時期です。キッチンやバスルームのリフォーム、配管の交換などが該当します。
また、台風や地震などの後にも建物の修復が必要になることが多く、維持費が急増します。例えば、地震で基礎部分が損傷した場合、修理には100万円以上かかることがあるでしょう。
持ち家の維持費を抑えて日々の後悔をなくそう
持ち家の維持費は年間30〜40万円程度で、修繕費用・税金・保険料などが含まれます。戸建てとマンションでは維持費の構成が異なり、マンションのほうが高くなる傾向があります。
維持費を抑えるためには、保険内容の見直しやメンテナンスなど、建築後の工夫が重要です。また、建築前において信頼できる建築会社を選んだり性能の高い物件を選んだりすることも、維持費を安く抑えることにつながります。
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