2024/12/26
新築住宅はオール電化とガス併用どっちが安い?料金とメリットを比較
この記事では、新築住宅のオール電化とガス併用について解説します。
住宅設備を選ぶ際には、初期費用やランニングコスト、住む地域ごとの料金体系など、さまざまな要素を考慮する必要があります。特に、オール電化とガス併用のどちらが経済的かは家庭のエネルギー使用状況や地域によって異なるため、一概にどちらがよいとはいえません。
この記事では、それぞれの料金の目安やメリット・デメリットを解説します。オール電化とガス併用のそれぞれに向いている人の特徴もお伝えするので、新生活を始める予定の人はぜひこの記事を参考にしてください。
【この記事でわかること】
● 新築住宅のオール電化・ガス併用はどっちが安い?
● 新築住宅にオール電化を導入するメリット・デメリット
● 新築住宅にガス併用を導入するメリット・デメリット
● 新築住宅のオール電化・ガス併用に向いている人
新築住宅のオール電化・ガス併用はどっちが安い?
ここでは、新築住宅ではオール電化かガス併用のどちらが安いか見ていきましょう。
新築住宅の光熱費は、オール電化のほうが安くなる傾向がありますが、初期費用はオール電化のほうが高額になるでしょう。
それぞれの料金を順番に解説します。
オール電化の料金
ここでは、オール電化の料金例として、関西電力のオール電化メニューを使用した人の光熱費をまとめました。
世帯人数 | 光熱費(全国平均) |
一人暮らし | 1万777円 |
2人家族 | 1万3,406円 |
3人家族 | 1万4,835円 |
4人家族以上 | 1万6,533円 |
※2020~2021年の年間使用量から算出
オール電化の注意点は、全てのエネルギーを電気で賄っている点です。そのため、電気代が高騰した場合にはその影響を受けやすくなります。
また、オール電化にかかる初期費用の目安は 50〜80万円 とされています。
ガス併用の料金
以下は、政府統計の調査を基に世帯ごとの「電気代」・「ガス代」・「他の光熱」を合計したものです。
世帯人数 | 光熱費(全国平均) |
一人暮らし | 9,134円 |
2人家族 | 1万4,824円 |
3人家族 | 1万6,574円 |
4人家族 | 1万7,012円 |
※参考:世帯人員・世帯主の年齢階級別 1世帯当たり1か月間の収入と支出 2021年丨e-Stat
先ほどのオール電化と比較すると、一人暮らし以外の3つの世帯人数で光熱費が高くなっています。また、ガス併用の初期費用は20〜40万円とされています。
新築住宅にオール電化を導入するメリット
新築住宅にオール電化を導入するメリットは以下4つです。
- 光熱費の節約につながる
- 火事の危険性が低い
- 災害時の復旧が早い
- キッチンのお手入れが簡単
順番に解説します。
光熱費の節約につながる
オール電化の住宅では、光熱費を節約できます。なぜなら、家庭で使用するエネルギーを全て電気に一本化するため、プロパンガスや都市ガスの契約が不要になるからです。
さらに、電力会社が提供するオール電化の住宅向けのお得な料金プランを利用すれば、昼夜間の時間帯別料金を活用し、特にエコキュートなどを使用する夜間の電気料金を抑えられます。
火事の危険性が低い
オール電化の住宅では、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの機器を使用して調理や給湯を行うため、火災の危険性が低いといえます。
オール電化住宅の機器は電気や空気の力で熱を生み出し、火を一切使いません。火災などの危険性が大幅に低減され、高齢者や小さな子どものいる家庭でも安心して暮らせます。
ガスを使用しないため、ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒の心配もありません。
災害時の復旧が早い
日本で災害時に最も早く復旧するライフラインは電気です。
たとえば、阪神・淡路大震災では、神戸市内で電気の復旧に要した期間は7日間でしたが、水道は90日、ガスは85日もかかったと報告されています。そのため、オール電化の住宅は災害時の復旧スピードの面で安心感を得られます。
さらに、オール電化の住宅でよく採用されているエコキュートは、夜間にお湯を貯めておく仕組みがあるため、停電時でもすぐに使えなくなるわけではありません。
また、貯湯タンクの水を生活用水として利用でき、断水時なども非常時に役立ちます。
※参考:停電したときや災害で電気が止まってしまった時、オール電化住宅はどうなってしまうのでしょうか?丨公益社団法人 東京電気管理技術者協会
キッチンのお手入れが簡単
オール電化の住宅では、ガスコンロの代わりにIHクッキングヒーターが設置されています。IHクッキングヒーターは平らな天板デザインが特徴で、鍋を支える五徳がないので使用後の掃除が簡単です。
汚れた場合でも、布で軽く拭き取るだけで手間がかかりません。日々のお手入れがとてもラクになります。
さらに、IHクッキングヒーターは火を使わないため、燃焼による水蒸気やガスが発生しません。
これにより、結露やカビの発生を抑えられ、換気扇も汚れにくくなります。
また、小さな子どもがいる家庭でも安全に料理を楽しめます。
新築住宅にオール電化を導入するデメリット
新築住宅にオール電化を導入するデメリットは以下のとおりです。
- 初期費用が高い
- 停電の際には機能しない
- 調理器具が制限される
順番に解説します。
初期費用が高い
オール電化の住宅にするには、エコキュートやIHクッキングヒーターといった専用設備の導入が必要です。
そのため、初期費用はガス給湯器やガスコンロを使用するガス併用住宅と比べて高くなる傾向があります。一般的に、ガス併用の初期費用が20〜40万円程度であるのに対し、オール電化では50〜80万円程度かかることが一般的です。
コストを考える際には初期費用だけでなく、ランニングコストも重要です。オール電化の場合、ガスの基本料金が不要となるため、長期的には光熱費を抑える効果が期待できます。
新築住宅をオール電化にする際には、初期費用とランニングコストのバランスを慎重に見極めることが重要です。
停電の際には機能しない
オール電化の住宅は、室内のエネルギーを電気のみに頼ることになるので、停電時に影響を受けるリスクがあります。
しかし、電気はガスや水道といったライフラインの中で最も早く復旧する実績があり、災害時の復旧スピードの面では安心感があります。
停電時の備えはオール電化の住宅に限らず重要です。特に、太陽光発電を併用し、蓄電池に電気を貯めておくことで停電中でも住宅設備や家電を使用できます。
また、カセットコンロなどの緊急用調理器具を用意しておくと、さらに安心して生活を送れます。防災グッズを揃えるとともに、太陽光発電や蓄電池の導入を検討することがおすすめです。
調理器具が制限される
オール電化の住宅では、調理にIHクッキングヒーターを使用するため、選べる調理器具が一部制限される場合があります。
具体的には、鍋底の形状や材質によってはIHで利用できないものがあります。
新築住宅にガス併用を導入するメリット
新築住宅にガス併用を導入するメリットは以下のとおりです。
- 初期費用が安い
- 火力が強い
- 停電の際にも一部が機能する
- 電気料金の高騰に強い
順番に解説します。
初期費用が安い
ガス併用住宅のメリットの1つは、初期費用をオール電化よりも抑えられる点です。
先述のとおり、オール電化の住宅では、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの高価な設備を導入する必要があり、初期費用は50〜80万円程度となります。一方、ガス併用の住宅の場合、高価な設備が不要なため、初期費用は20〜40万円程度と抑えられます。
初期費用をなるべく低く抑えたい人や、購入資金を重視している人にとっては、ガス併用住宅がおすすめです。
火力が強い
ガスコンロは瞬時に高温になり、火加減の調整がしやすいため、炒め物や揚げ物などの強火が必要な料理をする家庭に適しています。
さらに、フライパンを温めたりお湯を沸かしたりする時間も短縮できるため、忙しい朝の時間でも効率よく調理を進められます。
火力の強さは、料理の味を左右します。料理にこだわりがある人や、調理時間を短縮したい人にとって、より魅力となるでしょう。
停電の際にも一部が機能する
ガス併用の住宅のメリットは、停電時でも生活をある程度維持できる点です。
ガスコンロは電気がなくても使用可能なタイプが多く、災害時や緊急時でも暖かい食事を用意できたり、お湯を沸かせたりします。
特にプロパンガスを利用するエリアでは、都市ガスの供給が停止した場合でも一定期間ガスを使用できるため、安心感があります。
電気料金の高騰に強い
ガス併用の住宅のメリットは、電気代の高騰に対する強さです。電気とガスのエネルギー源を分散して使用することで、光熱費全体への影響を抑えられます。
近年、電気代が高騰するケースが増えている中、ガス併用の住宅ではガスを使う割合を増やすことで電気代の負担を減らせます。
また、調理や給湯などエネルギーを多く消費する設備をガスで賄えるため、電気料金が高い地域や時間帯に、ランニングコストを効率的に抑えられるでしょう。
新築住宅にガス併用を導入するデメリット
新築住宅にガス併用を導入するデメリットは、以下のとおりです。
- 基本料金が二重でかかる
- 火事の危険性がある
- プロパンガスは光熱費が高くなる場合がある
順番に解説します。
基本料金が二重でかかる
ガス併用の住宅では、電気とガスそれぞれに基本料金が発生します。そのため、オール電化で基本料金を支払うよりも、ランニングコストが高く感じられるでしょう。
また、電気とガスの両方で価格高騰の影響を受ける点がデメリットといえます。
火事の危険性がある
ガス併用の住宅のデメリットの1つは、調理中に火を使うことで火災のリスクがある点です。特に調理中に発生する火災は多く、コンロが原因の火災が多数報告されています。
特に子どもがいる家庭では、調理中に目を離さない、燃えやすいものを近くに置かないなどの基本的な対策が必要です。
一方、オール電化の住宅のIHクッキングヒーターは火を使わないため、こうした火災の心配がありません。
プロパンガスは光熱費が高くなる場合がある
ガス併用の住宅でプロパンガスを利用する場合、光熱費が高くなる点がデメリットといえます。
プロパンガスは都市ガスに比べて単価が高く、特に冬場の暖房や給湯で使用量が増える家庭では光熱費の負担が大きくなるおそれがあります。
さらに、都市部以外ではプロパンガスの運送費が基本料金に加算されることもあり、他の地域よりも支払い額が高くなるでしょう。
光熱費のコストを事前に把握し、住宅購入時の予算計画に組み込んでおくと安心です。ガス併用を検討している人には、都市ガスが利用できる地域かどうかを確認することをおすすめします。
新築住宅のオール電化・ガス併用に向いている人
ここでは、新築住宅のオール電化・ガス併用に向いている人の特徴をそれぞれ解説します。
オール電化に向いている人の特徴
オール電化に向いている人の特徴は以下のとおりです。
特徴 | 理由 |
日中家を空けることが多い人 | オール電化では、電気料金が昼間は高く夜間が安い料金プランが一般的であるため |
光熱費を一本化して管理したい人 | オール電化では電気だけで光熱費を賄うことから、支払い管理が簡単になり請求の確認も一本化されるため |
省エネの生活をしたい人 | エコキュートやIHクッキングヒーターはエネルギー効率が高いため |
環境に配慮したい人 | ガスや灯油を使わず、電気というクリーンエネルギーで生活するため |
オール電化の住宅は、夜間に家で過ごす時間が長い人や光熱費の管理を簡単にしたい人におすすめです。また、省エネや環境などに配慮したい人に向いているといえます。
ガス併用に向いている人の特徴
ガス併用に向いている人の特徴は以下のとおりです。
特徴 | 理由 |
日中に家にいることが多い人 | ガス代は日中のほうが安いことが多いため |
料理が好きで火力を重視する人 | ガスコンロは火力が強く、調整がしやすいため |
停電時の備えを重視する人 | ガス併用の住宅では、停電時でもガスコンロや給湯器が使えるため |
初期費用を抑えたい人 | ガス併用はオール電化に比べて初期費用が低い場合が多いため |
電気代と異なり、ガス代は日中の料金が安くなるケースが一般的です。そのため、日中に家にいることが多い人に向いています。
また、初期費用を抑えたい人や停電時の備えを重視する人にもぴったりです。
オール電化かガス併用かはライフスタイルにあわせて選ぼう
この記事では、オール電化とガス併用について解説しました。それぞれにメリットとデメリットがあるため、ライフスタイルや家族構成、地域の条件を踏まえた選択が重要です。
また、選択する際には現在の生活だけでなく将来の家族構成やライフスタイルの変化も考慮し、初期費用とランニングコストのバランスを見極めることが大切です。