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2024/12/02

家の名義変更とは?相続登記をしないリスクや手続きの流れ・必要書類を解説

家の名義変更とは?相続登記をしないリスクや手続きの流れ・必要書類を解説

この記事では、家の名義変更の手続きについて解説します。

名義変更の手続きは、不動産の所有者を変更した場合に必要です。名義変更をしておかなければ「真の所有者」とは認められず、売却できないなどのデメリットが発生します。

この記事では、相続登記をしないリスクや手続きの流れなどについて詳しく解説します。これから家の名義変更をする予定のある人はぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

  • そもそも名義変更とは?
  • 相続登記をしない場合に起こり得るリスク
  • 【ケース別】家の名義変更の手続きの流れ・必要書類
  • 家の名義変更にかかる費用

そもそも名義変更とは?

そもそも名義変更とは、法務局で行う所有権移転登記のことです。所有者が変わった場合に不動産の名義を変更します。はじめに、以下の点について解説します。

  • 名義変更をするべき理由
  • 名義変更が必要なケース

順番に見ていきましょう。

名義変更をするべき理由

家の名義変更をするべき理由は、相続や贈与、売買などのトラブルを防ぐためです。

例えば、相続した家を第三者に売却する場合、名義変更していなければ不動産に関する権利を主張できません。不動産を担保に融資を受けられないため、所有者が変わった場合は速やかに法務局で所有権移転登記の手続きをする必要があります。

名義変更が必要なケース

不動産の名義変更が必要になるケースとしては、以下の4つが挙げられます。

  • 相続
  • 売買
  • 贈与
  • 離婚

相続登記は2024年4月1日より義務化され、相続した日から3年以内に登記することが必要です。売買の際は、売却代金の決済・引渡しと同時に名義変更を行います。

生前贈与で不動産を贈与された場合も、名義変更しなければなりません。離婚による財産分与で片方の名義に変更する場合も、名義変更をすることになります。

※参考:相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始) 〜なくそう 所有者不明土地!〜|東京法務局


相続登記をしない場合に起こり得るリスク

相続で不動産を受け継いだ場合に相続登記を行わないと、以下のリスクがあります。

  • 不動産の売却や処分ができなくなる
  • 相続人が増えることで登記が複雑化する
  • 相続人同士の争いが発生するおそれがある
  • 相続登記の義務に違反した場合は罰金が科される
  • 第三者に権利が渡るおそれがある

詳しく解説します。

不動産の売却や処分ができなくなる

相続登記を済ませないと不動産の所有者が自分にならないため、不動産の売却や処分ができません。

登記名義人が亡くなった時点で所有権は相続人に引き継がれますが、被相続人名義のままでは売却は不可能です。買主は、所有権の移転が確認できない不動産は購入しないため、現金にしたくても売れないリスクがあります。

不動産を担保にして相続税を納めたい場合でも、一度相続人の名義にしなければ金融機関からは融資を断られます。

相続人が増えることで登記が複雑化する

相続登記をせずに放置していると、他の人に相続が発生した場合、さらに権利が複雑化します。

なぜなら、相続人が死亡すると子や孫が相続人になる「代襲相続」が起きるからです。

代襲相続が発生して長期間経過すると、相続人を把握するのが難しくなることがあります。

相続人が増えると、登記に関する話し合いがまとまりにくいことも考えられ、手間や時間がかかるケースも少なくありません。

相続人同士の争いが発生するおそれがある

相続人同士でトラブルが発生することも考えられます。例えば、持分の割合で揉めてしまうことなどです。

相続時より兄弟関係が悪化した場合、誰がどのくらい持分を取得するのかで争いになる可能性があります。一度揉めると登記までに時間がかかり、さらに人間関係にヒビが入ります。

相続登記の義務に違反した場合は罰金が科される

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。相続登記の義務に違反した場合は罰金が科されるようになったため、注意が必要です。

正当な理由なく、期限内に相続登記を行わなかった場合は、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)を支払うことになります。

第三者に権利が渡るおそれがある

以下の方法で、第三者に権利が渡るおそれもあります。

  • 他の相続人が法定相続分で登記をして持分を他人に売却する
  • 他の相続人の借金の債権者が無断で法定相続分での登記を行う

自分の持分は他の共有者(相続人)の合意がなくても第三者に売却できるため、知らぬ間に見知らぬ人が共有者になるおそれもあります。

相続人の1人が借金返済を滞納していた場合、債権者が債務者の財産を差し押さえようとするケースがあります。債権者は債権者代位により、債務者である相続人に代わって法定相続分での登記を申請でき、持分を差し押さえることが可能です。


【ケース別】家の名義変更の手続きの流れ

家の名義変更はケースにより、手続きの流れには違いがあります。ここでは、以下のケース別に見ていきましょう。

  • 不動産売買の場合
  • 遺産相続の場合
  • 財産分与の場合
  • 生前贈与の場合

順番に解説します。

不動産売買の場合

不動産売買時は、以下の流れで名義変更の手続きを行います。

  1. 売買契約書を作成する
  2. 登記申請書を作成する
  3. 不動産の所在地を管轄する法務局に登記を申請する
  4. 登記が完了する

不動産会社に仲介依頼するケースでは、その会社が売買契約書を作成します。

売買では、売主と買主が共同で所有権移転登記を行うとされています。しかし、実際には、売主と買主の引渡しの場に立ち会う司法書士が、決済完了後に代理で登記申請するのが一般的です。

遺産相続の場合

遺産相続の場合、以下の流れで名義変更の手続きを行います。

  1. 必要書類を集める
  2. 登記申請書を作成する
  3. 不動産の所在地を管轄する法務局に登記を申請する
  4. 登記完了後、登記識別情報などの書類を法務局から受領する

遺産相続の場合は戸籍関係の書類などを集める必要があり、遺言書がない場合は相続人同士で遺産分割について話し合いを行います。

遺産分割がまとまったら登記申請書を作成して、相続した不動産の所在地を管轄する法務局に登記を申請します。相続登記は相続後、3年以内に行うことが必要です。

財産分与の場合

離婚などで財産分与をする場合、以下の流れで名義変更の手続きを行います。

  1. 離婚届を提出する
  2. 必要書類を集める
  3. 登記申請書を作成する
  4. 不動産の所在地を管轄する法務局へ登記を申請
  5. 登記完了後、登記識別情報などの書類を法務局から受領

財産分与に期限はありませんが、早めに財産を分けるためには離婚後速やかに行うのをおすすめします。

なお、離婚での財産分与では、基本的に不動産取得税や贈与税は課税されないケースが多く見受けられます。

生前贈与の場合

生前贈与を受けた場合、以下の流れで名義変更の手続きを行います。

  1. 贈与契約書を作成する
  2. 登記申請書を作成する
  3. 不動産の所在地を管轄する法務局に登記申請する
  4. 登記完了後、登記識別情報などの書類を法務局から受領する

贈与による名義変更の登記も期限が設けられていません。しかし、不要なトラブルを防ぐには速やかに名義変更の登記を行うのが得策といえます。

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、自宅やその敷地を贈与した場合は、110万円の基礎控除のほかに最大2,000万円の配偶者控除を受けられます。


【ケース別】家の名義変更の必要書類

家の名義変更を行う際には法務局に必要書類も提出します。ここでは、以下のケース別に必要書類を紹介します。

  • 不動産売買の場合
  • 遺産相続の場合
  • 財産分与の場合
  • 生前贈与の場合

順番に見ていきましょう。

不動産売買の場合

不動産売買で名義変更する際に、売主が必要な書類と入手先はこちらです。

必要書類入手先
本人確認書類(運転免許証など)本人
印鑑証明書(決済日から3ヶ月以内に発行)市区町村役場の窓口・コンビニエンスストア
住民票の写し
不動産の登記識別情報または登記済証(権利証)の原本登記所から通知され、所有者が保管
不動産の固定資産評価証明書対象の不動産がある市区町村役場

なお、登記申請書に住民票コードを記載した場合は、住民票の写しの提出は省けます。

遺産相続の場合

遺産相続の場合に必要な書類と入手先は以下の通りです。

必要書類(各ケースで共通)入手先
被相続人に関する書類戸籍謄本(戸籍事項証明書)・除籍謄本・改製原戸籍本籍地のある市区町村役場の窓口
住民票の除票または戸籍の附票
相続人に関する書類戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書) 

 

市区町村役場の窓口・コンビニエンスストア

住民票の写し
固定資産課税明細書市町区村役場(東京23区は都税事務所)
住民票の写し
登記申請書法務局または法務局のホームページからダウンロード
委任状・相続人全員の本人確認書類(司法書士に依頼する場合)本人が作成

その他、遺産分割協議をする場合は遺産分割協議書と法定相続人の印鑑証明書、遺言書がある場合は遺言書を提出します。

財産分与の場合

協議離婚で財産分与する場合の必要書類と入手先は以下の通りです。

必要書類入手先
財産分与する人本人確認書類(司法書士に依頼する場合)本人
不動産の登録識別情報または登記済証(権利証)
印鑑証明書 (登記申請日より3ヶ月以内に発行)市区町村役場の窓口・コンビニエンスストア
住民票の写し
財産分与される人本人確認書類(司法書士に依頼する場合)本人
離婚協議書、財産分与協議書
住民票の写し市区町村役場の窓口・コンビニエンスストア

 

 

戸籍謄本
不動産の固定資産評価証明書(名義変更する年度分)市町区村役場(東京23区は都税事務所)

司法書士に依頼する場合は、どちらも本人確認書類が必要となります。

生前贈与の場合

生前贈与の場合で必要な書類と入手先は以下の通りです。

必要書類入手先
贈与する人本人確認書類(司法書士に依頼する場合)本人
不動産の登録識別情報または登記済証(権利証)
印鑑証明書 (登記申請日より3ヶ月以内に発行)市区町村役場の窓口・コンビニエンスストア
住民票の写し
贈与される人本人確認書類(司法書士に依頼する場合)本人
住民票の写し市区町村役場の窓口・コンビニエンスストア

上記のほかに、贈与契約書や登記申請書も必要です。


家の名義変更にかかる費用

家の名義変更をする際には、以下の費用がかかります。

  • 登録免許税
  • 司法書士に支払う報酬
  • その他税金

それぞれの費用について詳しく解説します。

登録免許税

登録免許税とは、不動産の登記にかかる税金のことです。土地の売買については、令和8年3月31日までの間に登記を受ける場合は軽減税率が適用され1.5%となります。

税率は不動産や登記の種類によって異なり、以下の通りです。

【土地・建物の所有権の移転登記】※課税標準は不動産の価額

内容税率
売買2%
相続0.4%
贈与2%

※参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

土地の所有権移転登記にかかる税率は2%、中古住宅などの所有権移転登記にかかる税率は2%となります。

司法書士に支払う報酬

日本司法書士会連合会が調査したアンケート結果によれば、関東地区で所有権移転登記を司法書士に依頼した場合の平均報酬額は以下の通りです。

原因平均報酬額
売買51,909円
相続65,800円
贈与47,806円

※参考:司法書士の報酬|日本司法書士会連合会

相続の場合、固定資産評価額は実勢価格と異なるため、所有権移転登記の報酬は相続人や不動産の数などで大きく変動します。

その他税金

家の名義変更には、登録免許税のほかに以下の税金がかかる場合があります。

税金の種類課税対象税率
不動産取得税不動産を取得した人に課税● 土地:3%

 

● 家屋(住宅):3%

● 家屋(住宅以外):4%

譲渡所得税譲渡所得に対して課税● 所有期間が5年以内;39.63%

 

● 所有期間が5年超え:20.315%

印紙税譲渡・贈与契約書に対して課税● 価格によって変動

 

○ 1,000万円を超え5,000万円以下:1万円

○ 5,000万円を超え1億円以下:3万円

贈与税贈与された財産に対して課税● 10~55%

なお、贈与税は同じ金額でも間柄によって税率が異なるほか、110万円までは非課税です。


家の名義変更に関するよくある質問

最後に、家の名義変更に関するよくある質問を紹介します。

  • 家の名義変更にかかる期間は?
  • 家の名義変更は自分でできる?
  • 家の名義変更はどこに相談するべき?
  • 亡くなった人の名義変更はいつまで?

疑問を解消して、名義変更をスムーズに行いましょう。

家の名義変更にかかる期間は?

家の名義変更にかかる期間は、一般的に申請から1〜2週間程度です。必要書類の準備を含めると1ヶ月程度は見込まれます。

したがって、1日で手続きを終わらせることは基本的にできません。

家の名義変更は自分でできる?

家の名義変更は自分で行うことも可能です。

しかし、登記手続きには多くの書類が必要であり、専門的な知識も必要となります。そのため、司法書士に依頼したほうが滞りなく登記を完了できます。

家の名義変更はどこに相談するべき?

家の名義変更は、法務局または司法書士に相談します。

法務局では登記官が無料で名義変更の手続きについて教えてくれますが、不動産名義変更の専門家は司法書士です。

特に相続での登記は必要書類も多いため、手数料をかけてでも司法書士に依頼する人が多いといえます。

亡くなった人の名義変更はいつまで?

令和6年4月1日以降から相続登記が義務化されたため、不動産を相続した人は、相続したことを知った日から3年以内に登記申請をする必要があります。

相続争いなどで3年以内に相続登記ができない場合、相続人申告登記をする方法があります。


持ち家の名義変更に不安がある場合は専門家に依頼しよう

売買や相続などで家の所有者が変わった場合は、名義変更をしなければなりません。名義変更を済ませないと所有者であるとみなされないため、売却などをすることは不可能です。

持ち家の名義変更などに不安がある場合は、専門家である司法書士やハウスメーカーなどに相談しましょう。

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