2025/02/28
建売住宅で住宅ローン控除を受けるには?適用要件や手続き方法を解説

この記事では、建売住宅の購入で利用できる住宅ローン控除について解説します。
住宅ローンを使って家を購入した場合、住宅ローン控除を受けられるケースがあります。最大で13年間にわたって所得税からの控除を受けられるため、大きな節税効果を得られるでしょう。
この記事では、建売住宅で受けられる住宅ローン控除の概要や条件を解説します。控除を利用する際のポイントや申請手続き方法もお伝えするので、建売住宅の購入を予定している人はぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 建売住宅の住宅ローン控除(減税)とは?
- 2024年以降の建売住宅は省エネ性能が必須条件に
- 建売住宅の購入で控除を適用するためのポイント
- 建売住宅における住宅ローン控除の申請手続き
建売住宅の住宅ローン控除(減税)とは?
住宅ローン控除(減税)とは、住宅ローンを借入して住宅を取得した場合に減税を受けられる制度です。ニーズに合った住宅確保を促し、取得者の経済的負担を軽減することが目的です。
基本的には所得税から減税されますが、差し引きできなかった分は翌年の住民税から控除されます。ここでは、以下3点から住宅ローン控除(減税)について詳しく解説します。
- 適用条件
- 控除期間
- 控除額
順番に見ていきましょう。
※参考:住宅ローン減税丨国土交通省
適用条件
住宅ローン控除を利用するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
【住宅ローン控除の条件】
● 床面積が50㎡以上であること(合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り、40㎡以上) ● 自らの居住用住宅であること ● 合計所得金額が2,000万円以下であること ● 住宅ローンの借入期間が10年以上であること ● 引き渡しを受けてから6ヶ月以内に入居しており、申請年の年末まで居住していること ● 1982年以降に建築されている、もしくは現行の耐震基準を満たしていること |
不動産投資用に購入した住宅や自分以外の家族の居住を目的とした住宅は、住宅ローン控除の対象外です。また、床面積の要件は合計所得金額によって異なります。
控除期間
新築住宅の場合、住宅ローン控除を受けられる期間は最大13年間です。10年以上所得税や住民税の控除を受けられるため、長期的に節税効果を得られる制度といえます。
ただし、控除の適用期間にボーナス返済や繰り上げ返済などでローンを完済した場合、控除を受けることはできません。
控除額
住宅ローンの控除額は、年末時点でのローン残高の0.7%です。例えば、その年末時点のローン残高が3,000万円の場合、控除額は21万円になります。
ただし、控除の対象となるローン残高には上限があり、新築住宅の場合は省エネ性能の種類によって上限額が異なります。
2024年以降の建売住宅は省エネ性能が必須条件に
住宅ローン控除の条件は2024年に大きく改正され、新築住宅では省エネ性能がない一般住宅が制度対象外となりました。
2025年2月現在、住宅ローン控除の対象となる新築住宅は以下の4種類です。
- 省エネ基準適合住宅
- ZEH水準省エネ住宅
- 低炭素住宅
- 長期優良住宅
それぞれ解説します。
省エネ基準適合住宅
省エネ基準適合住宅とは、建築物が備えるべきとされる省エネ性能を確保するために決められた、構造や設備に関する基準です。
省エネ基準適合住宅として認められるためには、断熱等級が4以上、かつ一次エネルギー消費量等級4以上であることが求められます。2025年に入居する場合の控除上限額は、3,000万円です。
また、2025年4月からは住宅を含む全ての建物に省エネ基準への適合が義務付けられます。
※参考1:令和4年度税制改正における住宅ローン減税の延長 Q&A丨国土交通省
※参考2:住宅ローン減税丨国土交通省
※参考3:2025年4月(予定)から全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられます。丨国土交通省
ZEH水準省エネ住宅
ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅とは、使用するエネルギーの量を削減して毎日の光熱費を抑えられる住宅のことです。高い断熱性能と高効率設備の導入が求められるため、冷暖房の使用量が減りわずかなエネルギーで設備を使用できます。
ZEH水準省エネ住宅として認定されるには、断熱性能5かつ、一次エネルギー消費量等級6の性能が必要です。2025年に入居する場合の控除上限額は3,500万円となります。
※参考1:ZEH水準の省エネ住宅なら経済的にオトクに!丨国土交通省
※参考2:2025年4月(予定)から全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられます。丨国土交通省
※参考3:住宅ローン減税丨国土交通省
低炭素住宅
低炭素住宅とは、エネルギー消費量が低く、低炭素化対策が講じられているなど、二酸化炭素排出の抑制に資すると評価された住宅のことです。都道府県や市、または区などの所轄行政庁が認定を行います。
低炭素住宅として認定されるための条件には、以下が挙げられます。
【低炭素住宅の条件】
● 省エネ法で定められた省エネ基準より一次エネルギー消費量が20%以上低いこと ● 太陽光パネルなどの再生可能エネルギー利用設備が設置されていること ● 省エネ効果の削減量と省エネルギー量の合計が基準一次エネルギー消費量の50%以上であること ● その他、低炭素化のための措置が講じられていること |
低炭素住宅に2025年に入居する場合、控除上限額は4,000万円です。
※参考1:低炭素建築物とは丨一般社団法人 住宅性能評価・表示協会
※参考2:住宅ローン減税丨国土交通省
長期優良住宅
長期優良住宅とは、長期間に渡って住宅を良好な状態で使用するための対策が取られた住宅のことです。建築や維持保全に関する計画を作成する必要があり、その計画を所轄行政庁に提出して認定を受けます。
長期優良住宅はさまざまな認定条件が設けられていて、簡潔にまとめると以下のとおりです。
性能項目など | 新築基準の概要 |
劣化対策 | 劣化対策等級3かつ、構造の種類に応じた基準を満たしていること |
耐震性 | 耐震等級2以上 など |
省エネルギー性 | 断熱等級5かつ、一次エネルギー消費量等級6 |
維持管理・更新の容易性 | 維持管理対策等級3 |
居住環境 | 地区計画や景観計画、建築協定などの内容との調和を図っている |
住戸面積 | 75㎡以上 |
災害配慮 | 災害発生リスクがある地域では、リスクに応じて所管行政庁が定めた措置を講じている |
※参考:新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省
長期優良住宅の場合に2025年に入居する場合は、低炭素住宅と同様に4,000万円が控除上限額です。
※参考1:長期優良住宅のページ丨国土交通省
※参考2:住宅ローン減税丨国土交通省
建売住宅の購入で控除を適用するためのポイント
ここでは、建売住宅の購入で住宅ローン控除を利用するためのポイントを見ていきましょう。
- どの環境性能に該当する住宅か確認する
- 環境性能以外の要件を満たしているかチェックする
- ペアローンは夫婦2人とも控除を受けられる
- 2026年以降の入居は控除が適用されるか不明
上記4点について解説します。
どの環境性能に該当する住宅か確認する
先述の通り、2024年以降に住宅ローン控除を利用するためには、購入する建売住宅が何らかの省エネ性能住宅に該当している必要があります。
建売住宅を取得する際には、購入予定の家がどの基準を満たしているか確認しましょう。
また、省エネ性能の種類によって控除上限額が異なるため、どの種類に該当しているかも確認しておく必要があります。
性能の種類によって、利用できる補助金制度や助成金制度も異なります。
環境性能以外の要件を満たしているかチェックする
住宅ローン控除を受けるためには、環境性能以外にも設けられた条件を満たしていることが必要です。環境性能以外の要件には、合計所得金額など申請者に関する要件のほか、床面積など申請者に関する条件もあります。
建売住宅を購入する際には、環境性能以外の要件も満たしているか確認しましょう。
ペアローンは夫婦2人とも控除を受けられる
ペアローンとは、夫婦それぞれが主な契約者となり、それぞれ住宅ローンを組む方法です。
ペアローンの利用時には夫婦のどちらも住宅ローン控除を利用できるため、節税効果を期待できるでしょう。
ただし、住宅ローンを2本組むことになるので、それぞれに手数料や保証料が発生します。また、夫婦が互いの連帯保証人になるため、離婚時のトラブルの原因となるおそれがあります。
2026年以降の入居は控除が適用されるか不明
現行の住宅ローン控除制度は、2025年末までの入居に対して適用されることが明確になっています。2026年以降の制度については具体的な適用条件が公表されておらず、今は控除を受けられる住宅でも受けられなくなるおそれがあります。
省エネ性能を持つ住宅でも、普及が進むと控除対象外となる可能性があるため、早めの購入がおすすめです。
※参考:ZEH水準の省エネ住宅なら経済的にオトクに!丨国土交通省
建売住宅における住宅ローン控除の申請手続き
住宅ローン控除の申請手続きは、1年目と2年目以降で異なります。以下の2点から詳しく見ていきましょう。
- 【初年度】確定申告
- 【2年目以降】年末調整
それぞれ解説します。
【初年度】確定申告
住宅ローン控除を初めて受ける際には、入居の翌年に確定申告を実施します。申告時に必要な主な書類は以下の通りです。
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローン年末残高証明書
- 登記事項証明書
- 工事請負契約書、または売買契約書のコピー
その他、購入した住宅の省エネ性能を示す証明書も必要です。申告する前に税務相談チャットポットで必要書類を把握しておくことをおすすめします。
※参考1:住宅ローン控除を受ける方へ丨税務署
※参考2:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)丨国税庁
【2年目以降】年末調整
2年目以降は、勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受けられます。
金融機関から毎年送付される住宅ローン年末残高証明書や、税務署から送付される住宅借入金等特別控除申告書を勤務先に提出しましょう。
住宅借入金等特別控除申告書は、初年度の確定申告後に税務署からまとめて送付されるため、紛失しないよう大切に保管してください。
建売住宅の住宅ローン控除に関するよくある質問
ここでは、建売住宅の住宅ローン控除についてよくある質問に回答します。
- 購入した建売住宅がどの省エネ性能かわからないときはどうする?
- 省エネ性能がない住宅でも控除を受けられるケースはある?
- 入居日や引っ越し日が年をまたぐ場合に住宅ローン控除は受けられる?
疑問の解消にお役立てください。
購入した建売住宅がどの省エネ性能かわからないときはどうする?
購入した建売住宅の省エネ性能がわからない場合には、売買契約書を確認しましょう。売買契約書には購入した住宅の詳細が記されており、省エネ性能を把握できる可能性があります。
契約書を確認してもわからなかった場合には、担当の不動産会社や施工会社などに直接確認することをおすすめします。
省エネ性能がない住宅でも控除を受けられるケースはある?
2024年より、省エネ基準を満たしていない新築住宅は住宅ローンの対象外です。
ただし、2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅は省エネ性能がなくても住宅ローン控除を利用できる場合があります。
その場合、借入限度額は2,000万円で控除期間は10年間となります。
入居日や引っ越し日が年をまたぐ場合に住宅ローン控除は受けられる?
住宅ローン控除を受けるためには、住宅を取得した日から6ヶ月以内に入居し、その年の12月31日まで引き続き居住している必要があります。
入居日や引っ越し日が年をまたぐ場合、その年内に居住を開始していないと控除を受けられません。例えば、12月に取得して翌年1月に入居した場合、翌年分から適用が開始されます。
建売住宅の住宅ローン控除は適用要件をしっかりと確認しよう
この記事では、建売住宅の住宅ローン控除について解説しました。
住宅ローン控除は、最大で13年間にわたって所得税や住民税の減税を受けられる制度です。ただし、2024年より省エネ性能を持たない住宅は控除の対象外となっています。
住宅ローン控除の利用を検討している人は、建売住宅の購入時に省エネ性能の有無やその他の基準を満たしているかなどを確認しましょう。
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